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2006年12月15日

心温まるお話し

師走になり、迎春準備も忙しくなってまいりました。
1日には大絵馬の掛け替え、14日には御煤納(おすすおさめ)を行いました。

さて、今朝、境内を掃除していた際に、参拝の方から「心温まるお話し」をお聞きしたのでご紹介します。
少し長くなりますがご容赦を。

杖をつきながら、初老の気品ある奥様が、私にお話しされるには・・・

  昭和30年代頃、お百度参りで八幡さまに毎日お参りをしていたのですが、毎週日曜日に男の子二人
  が私の目を盗みながらお賽銭泥棒をしてるんです。

  いつか注意しなくては、と思い切って話しかけてみたら中学生でした。
  「僕たち、八幡さまはね、八百八十八万のご利益がある神さまだから、そんなことをしてたら八百八十
  八万倍のバチがあたるんだよ。僕たちが十円盗んだら、十円の八百八十八万倍のお金に苦労するよ
  うバチがあたるよ。だからもうこんな事は止めなさいよ」と私は注意したんです。

  でも、次の週も境内でこの二人を見かけました。
  私は、この二人が可哀想に思えてしょうがありませんでした。
  そこで、私はお賽銭用に持っていたお金をポケットから出し、500円づつを二人に渡し、「僕たち、この
  お金でパンと牛乳を買って帰りなさい。八百八十八万倍のバチがあたるようなことをしていては、二人
  とも一生お金で苦労するようになりますよ。」とまた注意したんです。

  それから10年くらい経った、ある月の一日参り。
  八幡さまで背広姿の青年が二人、私に近づいて来ました。
  二人はモジモジしながら「おばさん、僕たち、ずいぶん以前に、お賽銭取るなよってお金もらった、
  あの子どもです。おばさんのお陰できちんと社会人になれました。本当にありがとうございました。
  一日なら、きっとおばさんに会えると思ってずっとお参りに来てたんですよ。
  でも、おばさんの八百八十八万倍の言葉はきつかったなあ。」と言ってくれたんです。

  私は、うれしくて、うれしくて、涙が出ました。
  あの二人の男の子が社会人となった立派な姿と、私への温かい感謝の言葉に感激して。

  そして、お互いが名前も知らないまま、八幡さまで別れたんです。
  私は、一日と十五日、八幡さまにお参りする度に、今でもふっとその日のことを思い出すんですよ。

ほんとうに心温まる、いい話をお聞きし、私も感動しました。
話す奥様も、聞く私も、その情景が浮かんで目が潤んでしまいました。

奥様は「八幡さまの八百八十八万のお力のお陰に感謝しています」と最後に言われましたが、
こんな優しい奥様や素直な子どもの存在こそが、日本社会の宝ですね。